体育学部卒のくせにスポーティーな話題に触れてこなかったので、今日は富士山に登った時の話を書こうと思います。
元々、子供の頃から僕も富士山が大好きでした。日本人で富士山が嫌いな人を見つける方が、難しいかも知れませんね。別に日本人ではなくても、富士山に魅了されてる方は、外国人にもたくさんいます。その雄大さと美しさ、圧倒的な存在感が魅力なのかも知れません。
そんな富士山に登ってみたいな、と思うようになったきっかけは意外にも職場の同僚でした。 その当時、僕は外国人が多数在籍する職場で働いていて、その中のひとりが夏休みに富士山に登ってきたのです。そんな話を彼としてたのですが、「え、お前富士山に登ったことないの?色んなアクティビティをやってそうなのに。日本人なら富士山、登んなきゃマズイでしょ」みたいな会話をしたことを覚えています。 確かに日本を象徴するアイコンであり、こんなに大好きな山でもあるのに、登ろうっていう発想は無かったな・・・と思いました。なんか外国人に言われたのもちょっとシャクだった、というのもあっていつかは富士山に登る、というのはアタマの片隅に残ることとなりました。
まぁそんなこんなでふと毎夏「何かに挑戦する日」について考えてる時に、富士登山のことがアタマをよぎったのです。 そうだ、富士山、登ろう、と。
それから富士登山について調べ始めました。富士山は夏の間しか開山しておりません。 思い付いた時期も時期ですし、富士登山は内外で大人気なので、山小屋の宿泊数も限られています。今から一緒に登ってくれる人を探すのは大変だ、ということでソロで行こうと決めました。すぐにネットで予約しましたが、結果数時間後には、どこのツアー会社も予約は埋まっていたのでツイてたな、と思いました。 ネットでは、富士登山のことを、いろんな方々がそれぞれの視点で、思うことをまとめています。 高山病の恐ろしさと天候の厳しさ、行程の大変さ、滑落の危険性なども綴られています。同じ登山でも高尾山を登るのとはワケが違うのだな、ということが分かりました。 またある方の意見では、富士登山は思っているよりもハードルが低いからそこまで心配する必要はない、だからもっと気楽に挑戦してみて欲しい、といったものもありました。
僕は富士登山に潜む危険性を自分なりに理解しつつ、そこに集中し過ぎないよう心がけました。決してナメてたわけではないのですが、80歳の方でも登頂に成功しているのなら、僕にも出来ない訳ないだろう、と思えたのです。それにキツい、大変、危ないなどという思いだけを経験したくて登山するわけじゃありません。 簡単ではなさそうなものに挑戦して、達成感や行程の全てを楽しむこと、これらが趣旨なのです。苦しくて、危険なことはあるかもしれませんが、それも含めてやっぱり、楽しみたいのです。 だけど、ネットで読んだ弾丸で頂上をイキナリ目指したり、手ぶらで挑戦するような無謀だけはすまい、と決め八合目で一度宿泊するツアーに申し込みました。現地までのバスも料金に含まれていたので、とてもお得な感じです。 準備に向けて僕が購入したものは、もしもの時の酸素ボンベだけでした。ネット情報ではやたらと登山靴の購入を勧めるものが多かったのですが、普段履き慣れない登山靴を履いて靴擦れになるくらいなら、普段履き慣れているスニーカーの方が良いだろう、ということでそうしました。
無事当日の朝にバスに乗り、富士山五合目に到着をしました。ツアー会社で参加者のグループ分けがされ、僕は順当に初心者・高齢者チームに振り分けられます。 いよいよ、スタートです。林道のような場所を抜けて砂と石がゴロゴロしているトラックに入っていきます。とにかく高山病対策や高度順応のため、ペースはゆっくりで、仮設トイレのあるポイント、ポイントで必ず休憩をとる感じでした。仰ぎ見る山頂部分へはまだまだ遠そうな印象を持ちますが、確実に近づいていることを実感できます。遠くに見える街の景色や、富士を囲む樹海の美しさなどは本当に素晴らしいものでした。
ただ一点だけ、ちょっと気になるといいますか嫌な点がありました。それは外国人の登山者とみられる方々の声の大きさと、ルール・マナー無視の行動です。富士山は主に登りと下りの専用トラックがあるのですが、下りに比べて登りトラックは道幅も狭く、基本的には一本しか道はありません。岩の横などを通過するポイントでは1mもない、人ひとりがやっと通れるような道さえあります。ここで誰かが足を滑らせて滑落してしまったら、後ろにいる登山者も道連れにされることは必至です。 だからこそ登山者は追い抜きをしない、割り込みをしないと最初にルールを説明されます。 しかしそれら外国人の方々は、平気で割り込みをしたり、横に広がってガンガンぶつかってきたりします。もちろん謝罪等もありません。細い道でいきなり立ち止まってセルフィーを撮り、渋滞を発生させたりしていましたが、常に周りを見たりするような方々ではないので、そういうことには全く気づいておりません。 まぁでも海外に来てこんな景色と未知の経験を味わっているのだからテンション上がるのは仕方ないよな、と思うように努めました。
結局、頂上までずっとこんなストレスを抱えておりました。どのタイミングだったのかは覚えていませんが、楽しもうとする気持ちを不愉快さが上回りました。だからと言って、そういう方々を注意する気にもなりませんでした。状況は何一つ変わらないでしょうし、そうなれば喧嘩になることは避けられません。 こんな思いをするくらいなら、富士登山は一回でいいや、とその時に思いました。もう最初で最後なのだから、楽しまないと損だぞ、と割り切ることができ、何とか平静を保つことができたのだと思います。
ただこんなことを書いておいてアレですが、翌年も僕は富士登山に挑むことになりました。それは知り合いに一緒に登ることを懇願されてしまったからです。二回目もやはりその類のストレスがかかりウンザリしていましたが、一人ではなかったので精神的にはかなり救われました。富士登山はソロではなく、友人やパートナーと参加するのが良いのかもしれません。
まぁネガティヴな記載はこの程度にして、ポジティヴなことを以下書いていこうと思います。
↑登山というよりも往路は岩登り、みたいなコースが多いです。 こんな勾配があるからこそ、荷物はなるべくコンパクトにして、足腰への負担を軽くする必要があります。
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そんなこんなで夕方頃、宿となる山小屋に着きました。同じチームで歩いた方は、普段全く運動されないようでしたが、宿に着いた途端の皆さんの顔は、とても素敵で印象的でした。
個人的にはとにかく空腹が限界だったので、食事が取れることにコーフンしました。 夕食は明らかにレトルトのカレーライスだったのですが、空腹は最高の調理スパイスとなり得ます。本当に美味しく感じられました。八合目まで来ると少しだけ空気の薄さを感じます。夜2時に登頂アタックが始まるので、夕食後仮眠をとりました。
そしてついに山頂に着きました! これまでずっと一緒に行動してきたチームの方々の噛み締めたような表情、そして笑顔の連鎖。とても美しい瞬間でした。
あとはお目当てのご来光を見るために、各々ポジション取り合戦が始まります。
下山は八合目からフリー行動となりました。ここからは空気が逆に濃くなっていきます。なんだか体力が余っていたので、僕は集合場所である五合目まで走って下山してみることにしました。途中三回くらいコケたと思います。
写真までアップするつもりはなかったのですが、自分の思い出整理も兼ねてこんなに長くなってしまいました・・・。 今回の一番の思い出は自分のことではなく、ゴールを切った時の同じチームの方々の表情です。ご来光にも感動しましたが、「やり切った人の顔」というのはやっぱり印象的で素晴らしかったです。良いものを見せていただいたな、と思いました。
あとは下山して感じたことは、登山とは少し離れたところになりますが、情報を取捨選択する目をもっと養わないといけないな、と強く感じました。正直に書くと、今回の富士登山はもっと大変な思いをすると思っていました。ただ実際はそうではありませんでした。 未経験なものに対し、いろいろと想像するのはイメトレのようなものなので大切だとは思います。でも未経験であることを必要以上に恐れたり、先入観などの間違った思い込みで物事を難しく考えるのは良くないことなのだ、と学びました。それらは富士登山で得た、貴重な教えになりました。
僕の部屋からは富士山が見えます。今でもベランダやビーチから富士山を見ながら「オレはあの山の頂に立ったのだなぁ」って思う時があります。 富士山を見るたびに、一生そんなことを思えるのはちょっと嬉しいな、と思います。だから気になる方は、いろいろアレなこともありますが、来年にでも富士登山、挑戦してみてはいかがでしょうか?
最後にロマンのカケラもないことを書いてみたいと思います! まず、ご来光(朝日)と雲海は飛行機から見るのがやっぱり一番だ!と卒直に思います!! もちろん、富士山頂から見るご来光と雲海は、とにかくありがたかったです。飛行機からのそれらより圧倒的にありがたく思えます。 ただ雄大さと美しさに関しましては、断然飛行機から!という結論になりました。あくまでも個人的見解です。異論は認めたいと思います! それと富士山は登るより、遠くから見ている方が美しいことにも気が付きました。ある程度の高さまで来ると樹海などの美しさは感じるのですが、それは富士山自身の美しさ、ではありません。登山中の富士は、とても荒涼とした景色が印象的でした。 世の中には知らない方が幸せなこともあるのだぞ、と富士山が教えてくれたような気がしています。
そんなこんなもあって富士登山は一回だけで充分、という結論になりました。 ただもし、誰かに誘われてしまったら・・・また登ってしまいそうです。小言を色々書いてしまいましたが、やっぱり「富士は日本一の山」だからです。美しさだけならきっと世界一の山だと思っています!
最後に以下↓は僕が普段見ている富士山の景色です。撮りためた富士の写真のストックがあるので、今後小出しにしていきたいと思います。逗子湾から見る富士山はサイズでは静岡や山梨などに劣りますが、海が入ると雄大さが増すように思います。ラーメン単体にチャーシューをトッピングするようなものですよね! そして僕らには江ノ島もあります!これもネギを追加注文するようなものなので、ネギチャーシューラーメンになります。普通のラーメンより豪華でしょう? 逗子湾からの富士も他県から見るそれに負けていないと思います! まぁでも美しい風景に勝ちも負けもありませんね。そんなことを考えること自体、ナンセンスでした! なんだかムダにアツくなってしまいましたが、あんな美しい神奈川沖の波と富士を描いた北斎なら、ぼくの意見に賛同してくれるかな⁈
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。